自筆証書遺言で登記できない時。実例をもとに紹介

自筆証書遺言で登記できない時。実例をもとに紹介

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

遺言書には実はいくつかの種類があります。

遺言書の種類については『遺言書の種類とは?特徴について徹底解説!』の記事で解説していますので

良かったら読んでみてください。

遺言書ということで自分で書くということを想像されるかもしれません。

ですが遺言書を自分で書いてしまったために遺言書としての効力が発揮されないなんていう悲しいケースもあります。

今回は実際の話を元にどういった場合の自筆証書遺言だと登記できないのかについてご紹介します。

自筆証書遺言で登記できない時

富子さん(仮名)は自筆証書で遺言書を書きました。

富子さんは夫に先立たれ一人息子がいます。

ですが息子が家を飛び出してから数十年も会っていません。

病気の時も近所に住む弟夫婦が富子さんのお世話をしてくれました。

そのため富子さんは自分が死んだら息子でなく弟に財産を渡したいと考えました。

 

富子さんの財産は預金と自宅の土地・建物です。

「私の自宅である大阪市○淀川区○○一丁目5番13号の家屋をゆずる」

という便箋に数行の簡単な遺言書を書きました。

富子さんが亡くなり家庭裁判所で「検認」が済んだ自筆証書遺言での相続登記の依頼がありました。

私はこれで登記ができるか否かを法務局に相談に行きました。

裁判所の検認は形式的なチェックであり内容を保証するものではないからです。

そして法務局から3つの問題点が指摘されました。

①「ゆずる」という文言

②不動産の表示が地番でなく「住居表示」になっている

③「家屋」となっている。

まず①の「ゆずる」という言葉は相続を意味するのでしょうか?

それとも遺贈(贈与)するのでしょうか?

次に②の件では法務局は地番で不動産を管理しています。

土地については「所在・地番・地目・地積」で特定(例、一丁目184番7・宅地・199,32㎡など)しています。

建物については「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」で特定(例、一丁目184番地7・家屋番号184番7・居宅・木造瓦葺平家建・89,65㎡など)しています。

最後に③の話は家屋とは建物を指すものであり土地は含まれないとのこと。

 

私は法務局に①の「ゆずる」という文言については弟は相続人ではないので遺贈。

②の住居表示に関しては地番との対照表で一致を認めてもらいました。

しかし③の家屋は建物を指すものであり土地を含むものではないというのが法務局の判断。

その結果登記はできず弟さんに不動産を渡すことができませんでした。

自筆証書は最後の希望が叶えられないリスクと常に隣り合わせです。

もしあなたが自分の最後の希望を遺したい。

そう思っているなら遺言書は公正証書で作成しましょう。

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