おひとりさまが死ぬとき【契約は大事です】

おひとりさまが死ぬとき【契約は大事です】

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

おひとりさまが死ぬとき。

一体どうなるのか?

今回は実際の話を基にご紹介します。

おひとりさまが死ぬとき

ある日ヘルパーさんから電話がありました。

「Aさんが危篤です。お医者さまは今夜がヤマだと言っています。」とのこと。

Aさんは私達が任意後見や遺言書の作成の準備をしている方で一人暮らしの83歳の女性。

本人が言うには一時期結婚して娘が一人。

ですが別れた夫と暮らしていたので娘とは何十年も音信不通で生きているのかさえも分からないとのことです。

他にはたまに連絡を取っている姉が一人いるだけいる。

いわゆる「おひとりさま」と言えるでしょう。

 

Aさんと私達とのご縁は

Aさんが末期癌であることがわかってからでした。

今後の病院の手続きや支払い、介護の申請や費用をどのようにしていくか?

それらについてヘルパーさんが相談したいというのがきっかけでした。

Aさんは賃貸マンションで生活していました。

そして自宅での生活に強いこだわりがあり

「できる限り入院したくない、、、」

そういったご本人の意見を尊重するために周りもそれに向けて準備をしました。

ですが徐々に体が弱り始めヘルパーさん以外に訪問看護や訪問医療もお願いすることとなりました。

・財産管理契約

判断能力はしっかりしているが病気や高齢などで身体が不自由になり銀行や役所に出向くのが大変になった場合。

信頼する方に通帳などを預けてお金の管理などを委任する契約のこと。

 

・任意後見契約

判断能力がしっかりしている間に信頼している人(受任者)と契約をします。

そして将来認知症などで自分の判断能力が衰えたら契約を発効させて任意後見人に自分の生活スタイルやお金を守ってもらう「頭の保険」のような制度です。

 

・死後事務委任契約

亡くなった時の遺体の引き取りは誰がするのか?葬儀はするのかしないのか?納骨やお墓はどうするのか?。

家賃や病院代、介護費用の支払いは誰がするのか?遺品の処分はどうするのかなど亡くなった直後の事務について委任しておく契約です。

 

・遺言書

簡単に言うと残った財産の分配をどう分けるかということです。

それらの4点セットの案も準備し後は公証役場に行くだけになりました。

そんな矢先のヘルパーさんからの電話でした。

 

「Aさんが亡くなりました。。。」

まだ何の契約も済んでいないのに・・・。

駆けつけるとお医者様の死亡診断書とAさんのご遺体が部屋に安置されていました。

この後は一体誰が死後の手続きについて責任を持って行うのでしょうか。

ケアマネジャーさんやヘルパーさん、訪問看護師さん。

そしてマンションの管理業者さんたちのすがるような目が私に注がれました。

私はプレッシャーに負けてつい「乗りかかった船ですからできる限りの協力をします。」と言ってしまいました。

とは言え契約が済んでいないので正式に出来ることはほとんどありません。

 

幸い遺言書の作成のために戸籍を集めていました。

生き別れたという娘さんにお母さんが亡くなったことを知らせれば協力をしてくれるかもしれないと思いその足で娘さんの住宅に会いに行き運良く会えたのです。

しかし娘さんからは

「これまで口では表現できないほど色々あったのに今さら母でも子でもありません。申し訳ないのですが一切協力できません。」

ときっぱり断られたのです。

私は天を仰ぎました。

 

こうなると誰が死亡届けにサインをするのでしょうか。

死亡届には親族以外に後見人、死亡した病院の医院長又は賃貸物件の大家さんがサインできます。

今回は賃貸マンションの自室で亡くなったので大家さんがサインすることになります。

しかし死亡届け出にサインをするとその後の火葬許可取得、葬式、火葬、納骨と続きます。

さらに家賃の未払金や部屋の片付け費用、改装費、葬式代は大家さんが負担することになるのでしょうか。

おひとりさまが死ぬときのまとめ

おひとりさまが準備もせずに亡くなると周りに迷惑がかかるかということが理解して頂けたのではないでしょうか。

自分自身がおひとり様の方はもちろんですが、皆さんの周りの友人・知人にもおひとりさまはいらっしゃると思います。

ぜひあなたに考えて頂きたいことは賃貸マンションに住んでいるおひとりさまが

任意後見の契約や遺言書の準備せずに亡くなったらどうなるのかという事です。

もし孤独死して誰にも気づかれずに長らく発見されなかったら?

今回はヘルパーさんやお医者さまがついていたのでそんなことにはならずに済みました。

でも私たちが実際に経験したケースでは死後数週間経過後に腐乱状態で発見され部屋の改装費に200万円以上かかった方がいました。

そういった事態にならないためにも元気なうちに成年後見の契約や遺言書などの準備をして下さい。

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