コラムcolumn

2024.07.01任意後見

判断能力の低下で銀行口座が凍結されてしまう

こんにちは、勝司法書士法人です。

 

最近急に物忘れが進んだAさんは、預金通帳を半年の間に4回紛失してしまい

銀行から口座を凍結されてしまいました。

 

銀行口座が凍結されるとキャッシュカードでの入出金や自動引き落としを含め

銀行取引が一切できなくなります。

家族が銀行の担当者に原因を確認したところ銀行の担当者が通帳紛失の事情を

Aさんに確認した際、Aさんの言動から認知症の疑いが強いため口座を凍結した

といういきさつでした。

 

今回は、銀行口座凍結の事例についてご説明します。

 

1.判断能力が低下すると銀行口座は凍結される

Aさんのように判断能力が低下してしまうと、本人が行った行為であっても法律上

有効な取引ではないとされる恐れが発生します。

金融機関はそのリスクを回避するために本人が認知症になった場合は口座を凍結し

取引を停止します。

そうなると、本人であっても銀行で預金が引き出せなくなります。

 

銀行だけに限らず、証券会社での投資信託や株式などの売買も対象です。

本人の財産保護のため金融機関が行う財産凍結を一般的に口座凍結と呼びます。

 

判断能力が低下した状態だと取引による効果を理解しないまま実行してしまったり

詐欺被害にあってしまったりするリスクが高くなります。

このような状態である本人の誤った判断から金融機関は財産を守るために口座を

凍結するのです。

 

2.口座凍結はどのタイミングで行われるのか

金融機関が口座を凍結するタイミングは次のタイミングです。

 

1.金融機関が判断能力が低下していると判断したとき

金融機関では契約者が記憶障害や判断能力の低下がもとになった行動をとる場合

口座を凍結する場合があります。

 

・預金通帳や銀行印を頻繁になくしてしまう

・何度も店舗に訪れ、同じ内容の質問や手続きをする

・お金がとられたなど、妄想を訴える

 

このような場合、判断能力を疑われ口座凍結につながります。

 

2.家族が金融機関に伝えたとき

本人に代わり店頭で手続きをする際に本人が来られない理由として認知症になったと

伝えたような場合、それを契機として口座が凍結される場合があります。

家族による不正利用を防ぐ目的があるからです。

 

3.判断能力の低下による口座凍結への対処法

Aさんの金融機関の口座が凍結されてしまったため家族が家庭裁判所に法定後見の申請を

しました。

法定後見人が選任された後は法定後見人がAさんに代わり、口座を含めたすべての財産を

管理することになります。

 

法定後見人は、Aさんの財産が少ないときは家族が選ばれる場合もありますが、Aさんの財産が

高額のときは司法書士などの法律専門家が選ばれることも多いです。

一度選ばれた後見人はごく一部の例外を除き、Aさんが生存中は交替することはありません

 

では仮に、家族ではなく法律専門家が後見人に選ばれたとしましょう。

この場合、実際にどのようなことが問題になりやすいかご存じでしょうか。

内、1つ例を挙げてみます。


それは、「Aさんの財産の使い方の方針」の対立です。

法定後見人はAさんの財産を保護することが重要な使命の1つとされています。

 

Aさんの家族が、Aさんの為に必要があると考える支出であっても法律の専門家である

法定後見人が、まったく同じ考えであるとは言い切れません。

Aさんの財産の使い方についてAさんの家族の考えと法定後見人の意見が対立する可能性も

考えられるのです。

Aさんの財産の管理は最終的には後見人の責任と権限によって行われます。

Aさんの家族はAさんの財産の管理について一切口出しすることができないという事態も

ありえるかもしれません。

 

法定後見制度は認知症になった方の権利を保護するのに非常に重要な制度です。

しかしながら、認知症になる前の本人の生き方や考え方について知るすべがない専門家が

法定後見人となることで家族と軋轢が発生することもあるというのが、残念な実情であると

いえるでしょう。

 

4.将来のために「任意後見制度」で口座凍結の対策を検討しましょう

口座が凍結されてしまうと、認知症になってしまった本人の施設代や医療費を本人の財産から捻出

できず、家族が負担せざるを得ないという状況に陥る可能性があります。

本人が認知症になってしまってから、必要に応じて法定後見を利用するというのは1つの手段です。

しかしながら、法定後見には先述した問題を含め多くの人が不便だと感じる部分が存在します。

 

では、法定後見を避けたいとして、その方法はどうすればよいのでしょうか。

 

事前対策としては民事(家族)信託や任意後見制度があります。

おすすめなのは任意後見制度です。

任意後見制度と民事信託での大きな違いは、身上監護(保護)ができる点です。

 

身上監護とは、生活を維持するために必要な各種契約の代行をいいます。

任意後見人なら契約内容に従い介護施設の入所や病院への入院手続きを、本人に代わり

手続きができ、支払いも本人口座からスムーズに対応できます。

事前に任意後見契約を締結し判断能力低下時のための頭の保険として検討してみましょう。

 

勝司法書士法人では、いろいろな事例に対応できる任意後見制度に強い司法書士が多く

在籍しています。

任意後見制度に対しての疑問点に対してもわかりやすく解説いたしますので、お気軽に

問合せください。

 

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