コラムcolumn

2024.07.03相続

相続登記の義務化により農地があった場合どうすればいい?農地の相続について

こんにちは勝司法書士法人です。

 

本日は所有者不明土地のうち、農地の相続についてお話しします。

 

令和6年4月1日からの相続登記の義務化によって、これまで相続登記ができていなかった

農地についても3年以内に相続登記を行わなければいけなくなりました。

これにより現在農業をされている方で相続登記されていない農地がある場合には、3年以内に

色々な手続きを完了しなくてはいけません。

 

そこで相続された農地や、今後相続される遺産の中に農地があった場合の対応方法について

詳しく解説します。

 

1.相続登記の義務化

相続登記はこれまで任意でしたが、法改正により令和6年4月1日から義務化されました。

 

不動産の所有権を持った方が亡くなった後、所有権を相続した方が相続登記を放置していた結果

全国に所有者不明土地が増加したことが、今回の相続登記を義務化することになった要因です。

 

所有者不明土地のうち農地についても同様で、所有者不明土地になっているケースが多くあり問題と

なっています。

農林水産省の調査によると、青森県の面積よりも広い農地が所有者不明になっているとわかりました。

国土の耕地面積の3割程度の農地が、所有者のわからない状態というのには驚きです。

 

相続登記は、不動産登記簿に記載されている不動産名義を亡くなった所有者の名義から、相続人の名義に

変更する手続きをいいます。

相続が発生すると自動的に書き換わるわけではありません。

相続した人が相続を理由とする所有権移転登記を申請し、名義の変更を行うことで登記簿の権利者が書き

換わるのです。

 

登記申請を行う際、書類の提出と合わせて登録免許税を納めなければいけません。

相続登記で発生する税金なので相続税と勘違いされる方もいるかもわかりませんが、こちらは登記を行う

際の手数料といえます。

 

この登録免許税は、『固定資産税評価額 × 税率』で計算されます。

税率は宅地や農地といった用途による違いはなく、1000分の4で計算されます。

 

2.遺産に農地がある場合の対応

亡くなった方の遺産に農地がある場合、農業をされるのであれば特に困ることはないでしょう。

しかし、相続人が農業をしていない場合、農地の取扱いで問題が生じるかもしれません。

 

農地は、宅地などと違い農地法という法律が関わってきます。

農地として利用しない場合、非耕作で放置してしまうと近隣の農地に悪影響を与えてしまう可能性があります。

虫の発生により虫害を引き起こす可能性から定期的な除草作業などの管理が必要です。

また、非農地証明をもらわずに耕作放棄地として放置してしまっている場合、その農地の固定資産税が通常より

高く課税される措置が取られるようになりました。

そのため使わないけど相続したという場合、不要な経費がどんどんかかってしまう可能性があるのです。

 

そこで遺産に農地があった場合、どうするかを検討しなくてはいけません。

 

1.相続して農地利用する

相続する方が農業従事者、もしくはこれから農業を始めるという場合であれば、相続して農地利用することで

非耕作などの問題は生じることはありません。

 

農地を相続する手順については、後半で解説します。

 

2.農地以外への転用

農地を相続しても農業を行わない場合には、多くのコストが生じてしまいます。

このようなことから農地から別の土地用途へ転用して利用するという方法があります。

 

農地から宅地に変更することで、そこに住宅を建てることができますし賃貸物件を建設すれば

賃貸することもできます。

住宅用地として売却することも可能です。

 

ただし、農地から別用途に転用することは個人の判断で勝手に変更することはできません。

事前に所在地がある自治体の農業委員会へ許可申請を出し、許可を受けなければいけません。

 

対象区域が市街化区域にあればスムーズに転用認可を得やすいですが、市街化調整区域などの場合は

転用許可が下りないことや下りにくいことがあります。

 

ただ、例え宅地として転用できたとしても周辺が農地であれば住宅地としての需要がなく売れない

可能性があります。

このような転用しても売却できない場合や転用許可が下りない場合は、転用せずに農地のままでの

売却を検討することになります。

 

3.農地として売却する

農地を相続しても農業を行わない場合、また転用もできないといった場合には農地として売却する方法が

あります。

 

周辺が農地であれば、近隣の農家の方によって購入してもらえる可能性がありますが、宅地と違いその農地以外の

地域に住まわれている方が購入する可能性は低いことから、売却が難しい場合があります。

 

このように農地として売却する場合には、状況によって色々な制限があるので農地としての売却は宅地と

比べると難しいといえます。

しかし、転用しても売却が難しい農地や宅地転用の認可が下りない地域の場合は、農地のままで売却するしか

ありません。

 

売却する場合にも、転用と同じく事前に農業委員会の許可を取る必要があります。

 

4.相続放棄する

農地を相続しても農業はしない、また転用や売却を検討しても売却そのものが難しいということが事前に

わかっている場合の最終手段となるのが相続放棄です。

 

相続放棄すれば、その農地の所有権がなくなることから固定資産税や管理をする必要もなくなります。

ですがデメリットもあり他の財産なども含めて相続を放棄しなくてはいけなくなります。

 

他の財産を含めて相続放棄したほうがいいのであれば、相続放棄することで農地から解放されますが、農地以外の

相続財産が多くあるのであれば相続放棄は検討できない方法だといえます。

 

相続した土地に農地があった場合の対処方法について解説しました。

 

相続人が農業をしない場合には、農地は不要な財産になってしまう可能性があります。

対処方法にはいくつかの方法がありますので、状況に応じて対処していただければと思います。

 

また、これまでに相続している農家の方の場合、2027年3月末までには相続登記を完了させ

なければいけません。

相続から時間が経っていれば、遺産分割協議が難航したり登記に関わる資料収集での費用や

登録免許税などの予期せぬ出費も必要になります。

 

勝司法書士法人では、いろいろな事例に対応できる相続登記に強い司法書士が多く在籍しています。

そのような、どのように対処すればわからないという場合は、勝司法書士法人にお気軽にご相談ください。

 

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