コラムcolumn
任意後見開始後に遺言作成は可能か
こんにちは、勝司法書士法人です。
今回は、
「任意後見契約が開始していても、遺言作成できるの?」
このようなご質問を受けましたので、そちらについて解説します。
結論として、「可能だけど無効になる可能性が高い」が答えになります。
それでは、詳しくご説明します。
1.任意後見開始後に遺言作成は可能
任意後見監督人がつき任意後見契約が開始した後でも自筆で遺言は作成できます。
なぜなら任意後見には行為制限がないからです。
通常、判断能力が低下し後見人が必要になったときに、それまでに任意後見契約していなければ
法定後見制度の活用が必要になります。
法定後見制度を活用し成年被後見人になると判断能力の低下により自分で財産の管理が
できない状態であるため法に定められた一定の行為制限がかかります。
任意後見制度では、このような制限がかからないからです。
2.無効になる可能性
任意後見人による後見開始後でも遺言作成は可能ですが、その遺言が遺言執行時に
無効になる可能性があります。
任意後見契約の開始は裁判所に任意後見監督人選任を申立てて選任されてからです。
しかし、先程説明したように任意後見には行為制限がありません。
そのため任意後見開始後でも判断能力がしっかりしている場合、遺言作成は可能です。
しかしながら判断能力が低下している状態だと本人の正常な意思のもとで作られたとはいえません。
そのため遺言を作成した時点で意思能力がなかったと判断された場合その遺言は無効になるのです。
3.確実に遺言を残す方法
確実に遺言を残す方法として公正証書遺言での作成があります。
公正証書遺言とは公証役場で公証人と2人以上の証人、遺言者で作成する遺言書です。
公正証書遺言で作成する場合、自筆証書遺言のように自分で作成して保管するわけでなく
公証役場が原本保管するため遺言書を紛失する恐れもありません。
また原本が手元にないため相続人や第三者による隠ぺいや改ざんをされる恐れもなく
確実に遺言を残せます。
4.法定後見制度では遺言を残せないのか
それでは任意後見契約しておらず法定後見制度を活用している状態についても解説します。
法定後見における成年被後見人でも一定の要件を満たせば遺言を残せます。
成年被後見人が遺言を残すためには次の要件を満たす必要があります。
- 一時的に判断能力が回復している
- 医師2名以上の立会
- 立ち会った医師による遺言書への判断能力の確認内容の付記、署名および押印
成年被後見人は判断能力が低下したため法定後見人がついている状況です。
判断能力が無い状態ですので一般的には遺言を残すのは難しいといえます。
なお法定後見人が被後見人を代理しての遺言作成はできません。
任意後見や遺言でのご相談は勝司法書士法人まで
任意後見開始後の遺言作成についてのご質問に回答いたしました。
任意後見開始後でも遺言は残せます。
ですが状況によっては遺言執行時に無効になる可能性もあります。
無効にならない遺言を残すためには公正証書遺言の活用がおすすめです。
公正証書遺言についてどうしらいいかわかない場合には、お気軽に
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