コラムcolumn
公正証書遺言の効力とは
こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。
遺言で書いたものすべてに法的に効力があるのか?
というと全てに効果があるのではありません。
遺言書の中で法的に効力が認められる内容を「遺言事項」といいます。
この「遺言事項」は法律で決まっているのです。
今回は遺言の法的効力「遺言事項」について解説します。
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公正証書遺言の効力
財産に関する遺言事項
財産の分け方等の「遺言事項」は主に次のようになります。
・相続分の指定
「長男太郎に3分の1 長女花子に3分の2を相続させる」
というように相続分の割合を指定することができます。
しかし親と長男が同居していた家をこの割合で相続するわけにはいかないでしょう。
そのため割合だけだと具体的にどの財産を相続するか未確定になるので別途遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議とは相続人全員で遺産の分け方について協議することです。
遺言書があるにもかかわらず「どの財産をどの割合にするのか?」
それが特定できていないと相続人全員の話し合いが必要になるためこの方法はおすすめしません。
この割合を遺言で第三者に委託することもできます。
・遺産分割方法の指定
遺言書で遺産の分け方を指定することができます。
たとえば
「長男太郎には自宅を相続させる。長女花子には預貯金、及び現金を相続させる」
ここで注意することは財産に漏れがないよう記載することです。
漏れを防ぐために「その他一切の財産を○○に相続させる」はよく使われます。
またある特定の相続人に対して特定の相続財産を渡したい場合
「相続させる」と表現するのが一般的です。
・遺産分割の禁止
相続開始してから5年を超えない期間は遺産分割を禁止することができます。
・遺贈
遺贈とは遺言書で相続人以外の人や団体に財産を引き継ぐことをいいます。
遺贈については遺言で寄付をするときのポイント!!の記事をご覧ください。
遺贈を受ける側としては不動産や有価証券は受け付けない所もあります。
そのため必ず遺言書作成の前に相談してください。
・特別受益分の持ち戻し免除
特別受益とは他の相続人に比べ特別な利益を受けた人がいた場合の「その利益」のことを言います。
たとえば扶養の義務の範囲を超える生活費や多額の学費援助など。
持ち戻しとは相続開始のとき相続財産にこの特別受益を合算することです。
持ち戻し免除とは遺言者が
「特別受益を合算しないで相続財産を計算してください。」
と意思表示しているわけです。
身分に関する遺言事項
・子供の認知
子供の認知は遺言書でもすることができます。
認知の届出は遺言執行者が行う決まり。
そのため遺言執行者を遺言書で指定する必要があります。
・相続人の廃除
遺言者に対し肉体的、精神的な虐待等していた人を相続人から廃除することができます。
相続人の排除の手続きは家庭裁判所に申立てをします。
この手続きも遺言執行者が行います。
遺言執行者とは「遺言の内容を実現する人」です。
遺言執行者の選任については「遺言執行者を選任する方法を完全解説!」をご覧ください。
遺言の執行に関する遺言事項
遺言の内容を実現するための「遺言事項」は次のようになります。
・遺言執行者の指定
遺言執行者については「公正証書遺言で遺言執行者を決めておこう!」で解説しています。
遺言執行者がいることによりスムーズに相続手続きが進みます。
「子供の認知」「相続人の廃除」の手続きは遺言執行者が行います。
遺言書で遺言執行者を指定してください。
遺言書で指定がないと家庭裁判所に選任の申立てが必要です。
トラブルを防ぐためにも公正証書遺言で遺言執行者を指定することをおすすめします。
公正証書遺言については「自筆証書遺言と公正証書遺言のちがい」、「公正証書遺言はどこで作るの?」の記事をご覧ください。
・遺言執行者指定の第三者への委託
自分の指定したい人が自分より先に亡くなってしまうかもしれません。
そのよう場合に備えて自分の子どもを「遺言執行者を選ぶ人」に指定することも可能です。
その他の遺言事項
・祭祀承継者の指定
仏壇やお墓を守る人を祭祀承継者といいます。
遺言で決めることができます。
あらかじめ生前に親族に伝えておくなどの方法で祭祀承継者を指定することも可能です。
付言事項
付言事項とは遺言書に書いても法的効力を持たないもの。
ですが残された人に向けて相続人への気持ちを記載したものです。
この遺言書を残した理由や親族への思いを伝える手紙のようなもの。
法的効力はありませんが遺言者の想いを伝えることで
相続人は気持ちを理解し相続人同士のトラブルを防ぐことができます。
遺言の効力とは まとめ
今回は遺言の効力「遺言事項」について解説しました。
主な遺言事項は次のようものです。
・財産に関する遺言事項
相続分の指定
遺産分割方法の指定
遺産分割の禁止
遺贈
特別受益分の持ち戻し免除
・身分に関する遺言事項
子供の認知
相続人の廃除
・遺言の執行に関する遺言事項
「子供の認知」「相続人の廃除」を行うのは遺言執行者なので遺言書で遺言執行者を指定してください。
遺言執行者指定の第三者への委託
自分の子どもを「遺言執行者を選ぶ人」に指定することも可能です。
・その他の遺言事項
祭祀承継者の指定
遺言で決めることができます。
・付言事項
遺言者の想いを伝え
相続人同士のトラブルを防ぐこともできます。
公正証書遺言は遺言者の意思を確実に伝えることができます。
しかし内容が不十分だと相続人同士のトラブルになる場合もあります。
公正証書遺言を作成するには専門家にご相談ください。
公正証書遺言の作成費用については「公正証書遺言を作成する費用」を参考にしてください。
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