コラムcolumn
認知症の親の成年後見人に子どもは選ばれないの?
こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。
親の認知症について調べると
「子どもは成年後見人に選ばれにくい」
と書いてあるものが多いです。
それはなぜでしょうか。
その理由がわかれば
「どのようなときに子どもが選ばれやすいのか?」
がわかるかもしれません。
今回は認知症の親の成年後見人に子どもは選ばれないのかについてお話ししていきます。
成年後見制度には法定後見と任意後見があります。
成年後見人とは法定後見のうちの後見類型を指していることが多いようです。
この記事では法定後見の後見類型を「成年後見人」と表現します。
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認知症の親の成年後見人に子どもは選ばれないの?
親が認知症になると家庭裁判所に成年後見人を選んでもらいます。
なので必ず子どもが選ばれるわけではありません。
親がすでに認知症になっている場合は親の住所を管轄する家庭裁判所に成年後見人の選任の申立をする必要があります。
その申立書には親の成年後見人には誰がふさわしいかを書く欄があります。
それを候補者欄といいます。
候補者欄に子どもであるあなたの名前を書いても選ばれるとは限りません。
あなた以外が選ばれても不服申し立てはできません。
もし子どもであるあなたが選ばれても日常生活で使うお金以外は裁判所が指定する金融機関に預けて貰うこともあります。
それを後見制度支援信託・後見制度支援預金といいます。
そこに入れたお金は裁判所の指示書がないと出すことはできません。
この制度を拒否すると裁判所はあなたに後見監督人を付けることがあります。
監督人はあなたが後見の事務をしっかりしているかチェックする役割です。
ではどのくらいの割合で子どもが選ばれているのでしょうか?
どのくらいの割合で選ばれている?
2019年に任意後見と法定後見を合わせた成年後見制度を利用した人は35,709人です。
その中で親族が後見人に選ばれたのは7,779人と21.8%しかありません。
さらに親族のうち子どもが後見人に選ばれているのが4,092人。
全体の35,709人からみると11%程度です。
データを見ると子どもが成年後見人に選ばれていないと言えるかもしれませんね。
どんな時に子どもが選ばれにくいのか
統計からみると11%しか子どもが選ばれていません。
ではどんな時に子どもが選ばれにくいのでしょうか?
子どもが親の財産を積極的に運用しようと思っている場合
子どもが親の不動産を担保に入れてお金を借りようと思っている場合
子どもが親のお金と自分のお金をキッチリ分けて管理できそうにない場合
子どもと親の利益が相反するような遺産分割協議の予定がある場合
親の財産がわからず財産調査をしないと財産目録が作れないとき
親の不動産を売却する予定があるとき
子ども同士で兄弟ケンカをしているなど親族間で揉めているとき
親に代わって訴訟などをしないといけないとき
親の資産が多く種類も多岐に渡るなど管理が大変だと裁判所が判断すると司法書士が選ばれやすいです。
親の財産で親族ともめる可能性があると裁判所が判断すると弁護士が選ばれやすくなります。
中には法律で成年後見人になれない人もいます。
これを欠格事由といわれます。
当たり前のことですが例えば未成年者や行方不明者・破産者などです。
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2019年の成年後見制度を利用した35,709人の11%程度である4,092人しか子どもが後見人に選ばれていません。
この事実を見ると認知症になった親には「子どもが後見人に選ばれていない」ということになりそうです。
その選ばれにくい理由を大きく3つにまとめてみると
- 親の資産が多額で種類も多い
- 親子の間で利益が相反する場合や不動産を売却する予定がある
- 子どもが親のお金を自分のもののように思っている
この3つが子どもが後見人に選ばれない典型例です。
親が認知症になってしまうと「子どもが後見人になれる可能性は小さい」ことがわかったと思います。
その対策としては親が認知症になる前に「頭の保険として」必ず親子間で任意後見の契約をしておくことですね。
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