コラムcolumn

2021.02.19相続

どうする!相続登記の義務化

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

日経新聞一面トップで「土地登記 相続3年以内に」という記事が載りました。

相続登記をしないままの空き家や空き地は以前から問題になっていたため

その対策として罰則規定もある法改正となります。

今の国会で成立すれば2023年には施行されます。

まだ亡くなった方の登記を変更してない方は

これを良い機会と考え相続登記をしましょう。

今回はそのような方のために相続登記についてわかりやすく解説します。

 

今回の内容は、動画でも解説しています。

よかったらご覧ください。

相続登記をする手順

具体的な例で考えてみましょう。

亡くなった父親が実家の不動産を所有し母親はそこに住んでいますが

子どもは男兄弟2人で結婚して別に住んでいます。

兄夫婦には子供がいません。

実家の土地と建物の登記は父親のままです。

まず登記名義人の相続人を調べます。

亡くなった父の生まれてから亡くなるまでの戸籍を集め相続人を確定します。

 

家族は知らないけれど(亡)父が以前婚姻していて子どもがいる場合や認知した子どもいるかもしれません。

そのため戸籍でしっかりと相続人を確認する必要があるのです。

戸籍を集める作業はかなり大変です。

戸籍集めから登記まですべて司法書士に依頼することも可能です。

たまに相談者から

自分の父親は固定資産税を全額払ってその土地に住んでいたから共有者がいても父親が所有者ですよね?

と聞かれます。

しかし固定資産税の支払いを全額しているから不動産の単独の所有者であるとはいえないのです。

そのために登記簿を取り寄せて誰が不動産の登記名義人か確認することも大切。

これも司法書士に依頼することも可能です。

相続登記を申請するパターン

相続登記を申請するパターンは次の通り

①遺言書に従った相続登記
②遺産分割協議書による相続登記
③法定相続分による相続登記

それぞれ説明します。

①遺言書に従った相続登記

父親が遺言書を残していれば相続登記は簡単に行うことが可能です。

遺言書に記載の通りに相続登記をすれば良いのです。

遺言書については、遺言書とは?【大切なご家族のために】の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

②遺産分割協議書による相続登記

遺産分割協議書による相続登記とは相続人全員の話し合いで誰が不動産を相続するか決めます。

話し合いがまとまったら遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には相続人全員の署名・実印の押印が必要です。

かなり昔の遺産分割協議書でも相続人全員の署名・実印の押印があり相続人全員の印鑑証明書が揃っていれば相続登記ができます。

(問題点)

遺産分割協議書を作る話し合いで不動産を相続人の共有にすることはお勧めしません。

それは不動産を共有にすると改築や売却する際に共有者全員の同意が必要となりますので話を進めるのが難しくなるからです。

例えば兄と弟が不動産を共有したとします。

兄に子どもがいないまま兄が亡くなり次に兄の配偶者も亡くなった場合。

夫婦とも遺言を残してないと兄の配偶者の兄弟と共有になります。

共有者が増えればそれぞれの意見が食い違う可能性があります。

不動産の維持・管理や固定資産税の支払いをするだけでも大変になってきます。

③法定相続分による相続登記

法定相続分とは法律で決められた相続財産の割合をいいます。

今回の配偶者は2分の1で兄弟はそれぞれ4分の1ずつです。

法定相続分での登記は遺産分割協議は不要です。

相続人のうちの1人から単独で登記申請ができます。

(問題点)
相続人単独でできますので一番簡単に思えますが、、、

すぐに売却を考えていないのであれば②と同じ共有関係の問題がでてきます。

また登記時には登録免許税がかかります。

不動産の固定資産税評価額の0.4%ですから都心の土地でしたらかなりの金額になります。

いつか相続人の内の1人に売買や贈与でまとめるとなると

登録免許税は2%になり遺産分割協議で登記の5倍になるので無駄なお金になってしまいます。

相続人申告登記制度

今回改正が見込まれている制度です。

遺産分割協議がまとまらず3年以内に相続登記できない場合に

相続人であることを申告すれば相続登記をする義務を回避できる制度です。

この制度を利用すると法務局は登記簿に申請した者の氏名住所などを記録します。

しかしこの制度を利用して氏名住所などを登記した後に遺産分割で相続した不動産の所有者を決めたら

その日から3年以内に相続登記が必要という義務は変わりません。

(問題点)
この制度はとりあえず相続人の情報を法務局にお知らせするというものです。

話し合いがまとまってない以上は問題の先送りをしただけになります。

遺産分割の話し合いがまとまらない時

専門家に入ってもらい法律上のアドバイスをうけながら話し合ってみましょう。

第三者が入ることで冷静に話し合えます。

また相手の持分を買い取る方法など法律上の知識を説明されることで解決方法が見つけられることもあります。

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どうする!相続登記の義務化のまとめ

今回は相続登記の義務化について解説しました。

今回の改定の話を聞いて「何だか面倒なことになった」と思われる方もいるかもしれません。

しかしこれを良い機会と考えて子や孫の世代になって共有者が増え

さら相続登記が難しくなる前に相続登記をしましょう。

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