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2020.06.15任意後見

任意後見契約に関係する制度についてご紹介

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

司法書士として登記業務以外に日々、成年後見の業務に携わっています。

今回は任意後見契約に付随する制度について説明したいと思います。

YouTubeで関連の動画を見ることもできます。

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任意後見契約に関係する制度についてご紹介

付随契約

任意後見契約の際に契約の効力が発効する前に必要な業務があります。

また契約終了後に必要な業務を付随業務として加えることができます。

見守り契約や財産管理契約、死後事務契約などです。

死後事務契約については、死後事務委任契約とは?おひとりさまでも安心 の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

人によって付随する業務は必要な人と必ずしも必要でない人がいます。

どのような制度なのか、詳しく見ていきましょう。

  本人の状況

 

契約の種類

判断能力がしっかりしている間 判断能力の低下

(医師の診断書を添付し選任申立)

死亡
見守り契約や財産管理契約。         (民法上の委任。) 民法上の委任に基づき見守りや財産管理を行う。 終了。
任意後見契約。

(公正証書で作成する。要式行為。)

未発効。 家庭裁判所の審判で監督人が選任され契約が発効。 終了。
死後事務契約。

(民法上の委任。)

未発効。 死後に事務を行う。

 

見守り契約

見守り契約とは将来の認知症の心配などで任意後見契約をした人(将来型)に必要な場合があります。

契約締結後は本人の判断能力の状況を誰かが見守っておかないといけません。

それは本人の判断能力の衰退を確認し任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申立てる必要があるためです。

特に身寄りのない方は誰も気づかないで放置されるリスクが高い。

そこで将来型の任意後見契約に付随して見守り契約を結んでおきます。

任意後見受任者に見守りの義務と必要な時が来たら監督人選任の申立を義務付けておくことが望ましいのです。

自分が認知症などにならない間は自分で財産を管理したい。

でもいつ認知症になるか自分ではわからない。

そのため任意後見受任者にしっかり見守って欲しいというニーズに合致します。

なお見守り契約は必ずしも公正証書にする必要はありません。

 

私は任意後見についての相談を受けた際は、必ず見守り契約について説明します。

見守りは任意後見が発効するまでの間に本人と受任者との人間性や考え方が合うかなどの相性をみる期間でもあるのです。

自分の判断能力が衰えた後にこの期間に受任者に自分が認知症になった後のことを任せて良いかを熟慮するための期間だとも。

 

私はイメージを伝えるための例え話として

婚約中にこの人と結婚しても良い。

そしてこの人に自分の人生を預けて良いかを思案している恋人たちの関係だと話をしています。

親族以外の第三者と任意後見契約をする場合判断能力がしっかりしている間に任意後見の受任者に自分の生活状況や考え方を伝えることが可能です。

自分の将来の衰えに備えるという意味では大切な期間。

以上から法定後見では事前に関係を築くことのできない期間です。

法定後見と違い任意後見のみに与えられた大切な期間となります。

見守り契約は任意後見契約をした全ての人に必要とは限りません。

子どもなど家族と同居しているような場合は常に家族が本人の状況を把握できるためわざわざ見守り契約を締結しておく必要は無いと考えます。

財産管理契約

財産管理契約とは判断能力は低下していないにも関わらず体が不自由になってしまった。

そして本人に代わり金融機関に行って欲しい場合や身上保護等の契約を代理で行ってもらうために財産の管理委任契約をすることができます。

財産管理契約は地代家賃の収入管理とそのための経費支払いだけして欲しいなど限定して委任することができます。

つまり委任の内容を個別具体的に定めておくことができるということです。

身の回りの事やその他日常生活に必要な現金や預貯金の管理は本人がするので委任しないなと決めることもできます。

 

実際の財産管理では預貯金に関する取引が大きな割合を占めます。

金融機関の一部では財産管理契約について職員が正しい理解を欠いている場合に手続きが滞ることも。

金融機関の中には確認のために本人の同行を求めることもあります。

任意後見契約と違い財産管理契約は必ずしも公正証書で作成することを義務付けられているわけではありません。

しかし私は財産管理任契約を必ず公正証書で作成しています。

 

それは契約書に継続的に財産管理契約を委任すると書かれていてもどこまでいっても私文書でしかないため。

第三者である公証人が本人の意思確認をしてないのです。

そのため金融機関は毎回本人の意思確認をせざるを得なくなります。

それは当事者が個別に委任状を作成して窓口に持参したのと同じになってしまうからです。

後見人選任の申立の直前までは親族や友人・知人が事実上の財産管理をしていることがあります。

しかし認知症が進行すると金融機関から本人の意思が確認できないと判断されて通帳がロックされてしまいます。

そのとたんお金の出し入れの必要に迫られて法定後見申立の手続きをしなければならなくなります。

 

本人が信頼をよせる親族や知人・友人でなく第三者の専門家が裁判所から選任されるという事態が多く起こるのです。

あなたが信頼を寄せている人がいるならば判断能力が衰える前にその人との任意後見契約をしておく必要があります。

そうでないと本人のことを知らない第三者が後見人として出てくるという望まない状況になってしまうのです。

 

他にライフプランという書類を作成することがあります。

ライフプランには本人の希望の中で確定していない事項を中心に書き込んでおくものです。

確定していないが故に契約書にしにくいものをライフプランに記載しておくことが多いのです。

そのような未確定の事柄については本人の意向によってこれをライフプランに記載しておくとそれを指針に後見人が判断の材料にできます。

ライフプランは財産管理契約であろうと任意後見契約であろうと作成しておくことは後々大事になってきます。

 

例えば在宅で介護を受けたいのか?施設に入りたいのか?施設に入るとすればどのようなところを希望しているのか。

自宅の処分はどうしたいのか?入院が必要な場合の病院はどこに入りたくて治療の方法はどのようなものか?

他にも死亡時の連絡先や葬儀、納骨、墓地についての希望など

現時点では確定していていないものです。

確定していないがゆえに契約書に書いておくことは難しい。

 

ですがこれらの意向や趣味・嗜好は、本人にとっては重要なことがあります。

任意後見人や財産管理の受任者が事務を行うにおいてライフプランがあることは本人の希望に沿った事務を行うための助けや指針として大きな意味があるのです。

ライフプランも判断能力がある間に作成の必要があるため法定後見ではありえない書類となります。

本人からすると自分の趣味や嗜好は自分の人生の柱や根本であることがありうるのです。

その部分をしっかりと持っている人は判断能力が衰えて手遅れになる前に事前準備として任意後見契約をしておく必要があるでしょう。

任意後見契約については、成年後見制度とは~法定後見と任意後見の違い~の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

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