コラムcolumn
不動産の相続トラブルの事例をご紹介
こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。
ネットには情報があふれているので自分で相続対策をする人もいます。
しかし相続は思ってもいなかったトラブルが起こります。
相続対策はその人の全体像と法的なリスクを把握した上で対策を立てないと思わぬ落とし穴があったりします。
その中でも特にトラブルが多いのが不動産に関わること。
今回はそんな不動産の相続トラブル事例をご紹介します。
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不動産の相続トラブルの事例
不動産の相続では様々なトラブルが発生します。
その中でも
売却
遺言書
に関してトラブルが発生することが非常に多いです。
詳しく見ていきます。
売却時トラブル
二人姉妹は父親がすでに他界しており昨年末に母親も亡くなりました。
そして相続税の支払いのため実家を売却せざるを得ない状況でした。
実家の立地は駅から近く交通の便も良かったためすぐに買い手も見つかりすべてが順調に進んでいました。
しかしここで思わぬ事態がおこります。
多くの場合、土地を売却するためには測量をおこない隣地との境界を確定する必要があります。
しかし隣地所有者が境界確認の立会いに協力してくれません。
もともと隣地所有者とは親の代から関係は良くなかったようです。
まったく話し合いにも応じてくれません。
また費用が安いと思って選んだ土地家屋調査士の初動のミスもかさなりますます解決は難しくなりました。
結局相続税の支払い期限である10か月が過ぎ、、、
銀行から融資を受けて支払うしかありませんでした。
隣地との境界でもめると最終的に裁判をするしかなく大変な時間がかかります。
対策
相続税の支払いのために相続した土地の売却を考えたら今すぐに動きましょう。
まずは売却先を探すことですが、、、
今回のようなこともあるので先に信頼できる専門家に相談するのも良いでしょう。
専門家同士つながりがありますからその分野に精通した人も紹介できます。
遺言書トラブル
Aさんには三人の息子がいましたが長男はすでに他界。
他の子供たちとは関係があまり良くありません。
しかし近くに住む亡くなった長男の嫁Bさんとは仲が良くBさんはAさんが亡くなるまでいろいろと世話をしてくれました。
Aさんは日頃から「私が死んだらBさんに自宅を渡す」と話しており
そのような内容の遺言書を書き残し亡くなりました。
しかしBさんが二人の義兄弟に遺言書の話をしたところ
そのような遺言は無かったと答えるばかりです。
結局、遺言書は無かったことになりました。
長男夫婦には子供いなかったため相続財産は相続人である二人の息子で分けました。
対策
まず遺言書は遺言執行者を選任した公正証書遺言を作成しておきましょう。
遺言執行者を指定した公正証書遺言証書については公正証書遺言で遺言執行者を決めておこう!をご覧ください。
公正証書遺言を作成しておけば今回の事例のよう遺言書が無かったことにされたり書き換えや紛失のおそれもありません。
また遺言執行者を指定しておけば登記を申請する際に相続人の協力が不要となります。
Bさん(受遺者)と遺言執行者で遺贈による所有権移転登記の申請ができるのです。
しかし、公正証書遺言も自筆証書遺言もいつでも書きかえることができます。
特にBさんのような相続人でもない義理姉に実家が渡ると知ったら兄弟は黙っていないでしょう。
兄弟は母親に遺言書を書きかえるよう強く求めてくる事が考えられます。
そのような場合に備える方法としてAさんとBさんの間で
負担付死因贈与契約を結び贈与契約の執行者をBさんにした公正証書を作成します。
負担付死因贈与契約?
聞き慣れない言葉ですね。
私の世話をするという「負担」について私が亡くなった時に「死因贈与」する
というのが負担付きの死因贈与契約です。
なぜ死因贈与契約を負担付という仕組みが必要なのでしょうか?
今回の負担とは「Aさんのお世話」です。
実は死因贈与契約だけだと遺言でいつでも「撤回」できるのです。
Aさんが他の子供たちの圧力で「契約を撤回する」遺言をしてしまうという可能性があります。
しかし負担付の死因贈与契約にすると贈与者(Aさん)による一方的な撤回が認められるのは
「やむをえないと認められる特段の事情」がある場合です。
実はまだこれでも不十分です。
なぜならAさんが亡くなると相続人は死因贈与契約を無視して自宅の所有権移転登記ができてしまうのです。
登記は早い者勝ちなのです。
そこでBさんはこの契約と同時に自宅に所有権移転登記の「仮登記」をします。
これでAさん死亡後にAさんの相続人が所有権移転登記をしようとしてもBさんの承諾の印鑑が必要になるのです。
そして死因贈与の内容を実行する人(執行者)をBさんに指定しておけば
BさんはAさんが亡くなったら単独で所有権移転登記の申請ができるのです。
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今回はそんな不動産の相続トラブル事例をご紹介しました。
今回の話はかなり難しい話に感じられたと思います。
しかし確実性の高い方法です。
実務経験の豊富な専門家であれば対応が可能です。
確実に死因贈与契約を守って欲しいと考えている人はまず勝司法書士法人にご相談ください。
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