コラムcolumn
遺言が持っている7つの効力とは?正しい遺言を作るために知っておこう
こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。
遺言には法律で決まった効力があります。
では、どのような効力があるのでしょうか。
今回は遺言が持っている7つの効力について
詳しく解説していきます。
今回の記事に関連する遺言書のメリットについてのYouTubeも是非ご覧ください。
もくじ
遺言が持っている7つの効力
遺言が持っている7つの効力は次の通り
相続人の廃除
相続分の指定
遺産分割方法の指定と分割の禁止
相続財産の処分(遺贈)
内縁の妻との子を認知
未成年後見人の指定
遺言執行者の指定または指定の委託
それぞれ詳しく説明します。
相続人の廃除
民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が
被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき
又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは
被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
推定相続人の廃除とは推定相続人から日常的に暴力や暴言をうけたり
推定相続人が借金を繰り返し遺言者が困窮した場合などに
相続人の地位を奪うことをいいます。
生前に家庭裁判所に相続人廃除の請求をする方法と遺言で廃除する方法があります。
遺言で廃除する場合は遺言で遺言執行者を指定し
その遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をします。
遺言執行者については「遺言執行者はどんな場合に必要?」で解説しています。
廃除された者は相続人ではなくなり遺留分も請求できません。
遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限相続できる財産のことです。
相続分の指定
民法第902条
1.被相続人は、法定相続分にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め
又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
遺言で法定相続分とは違う相続分を定め又は定めることを第三者に委託することができます。
法定相続分とは法律で決まっている相続分のことです。
たとえば妻と子供1人が相続人の場合
妻2分の1子供2分の1が法定相続分です。
遺言で「妻の道子に相続財産の3分の1、長女花子に3分の2を相続させる」と指定することができます。
またこの指定することを第三者にお願いすることもできます。
相続分の指定については「公正証書遺言の効力とは」でも解説しています。
遺産分割方法の指定と分割の禁止
民法第908条
1.被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め
若しくはこれを定めることを第三者に委託し
又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることができる。
遺産分割の方法を指定するものには次のようなものがあります。
代償分割
相続財産が主に不動産で相続人の一人がその不動産を相続する場合
他の相続人に金銭を支払うことをいいます。
その金銭を代償金といいます。
「長男太郎には自宅を相続させる。太郎は長女花子に3000万円代償金として支払うこと」
不動産を相続人の一人に相続させたい場合この方法があります。
しかし不動産の評価で揉めることがありますので注意が必要です。
換価分割
遺産を売却してから相続人に分ける方法のことです。
「不動産や預貯金等の全財産を換価換金し次のように分割方法を指定する」
妻道子に3分の2
長男太郎に3分の1
金銭に換えることで大変わかりやすい分け方です。
不動産売却等で時間がかかることがあります。
現物分割
「妻の道子に自宅、長男の太郎に預貯金、長女の花子に株を相続させる。」
という形状を変えないで現物のまま相続させる分割の方法です。
遺産分割方法の指定する際に注意することは
財産の記載漏れがないようにし
誰に何を相続させるか特定することです。
財産の記載漏れがあるとその部分について相続人間で遺産分割の話し合いをしなければなりません。
株や自宅を売却した時には、遺言書を作り変える必要があります。
また「自分の世話をした人に自宅を相続させる」というように誰に相続させるか
特定ができないと相続人間で揉める原因になります。
遺産分割方法の指定は第三者に委託することも可能です。
第三者に遺産分割方法の指定をお願いするなら公平性の上でも相続人以外の人にしましょう。
また相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁ずることもできます。
推定相続人が未成年である場合や推定相続人の中で所在がわからない人がいる場合など
遺言書で遺産の分割を禁止したりします。
相続財産の処分(遺贈)
生前にお世話になった相続権のない個人または法人・団体に対し財産を残したい場合は
「遺贈する」と記載します。
遺贈とは遺言により財産の全部または一部を無償で譲渡する行為を言います。
遺贈については「遺贈って何なの?わかりやすく解説します。」で詳しく解説しています。
内縁の妻と子の認知
いわゆる「内縁の妻」などの婚姻関係にない女性との間に生まれた
子の認知を遺言で行うことができます。
これを「遺言認知」といい認知された子どもは相続人となります。
また「遺言認知」をするときは遺言執行者を定めておく必要があります。
遺言執行者については「遺言執行者はどんな場合に必要?」で詳しく解説しています。
認知する子供が成人している場合は本人の承諾が必要です。
また胎児を認知する場合は母親の承諾が必要となります。
未成年後見人の指定
離婚や死別によって配偶者がいない人が急に事故などで亡くなってしまうことが考えられます。
未成年者に対し最後に親権を行使する人は遺言で未成年後見人を指定できます。
未成年後見人に指定された者は就任するなら死亡後10日以内に未成年者の市区町村役場に届出します。
その後、未成年後見人は未成年者の財産管理や身上監護を行います。
遺言執行者の指定または指定の委託
遺言執行者とは遺言の内容を実現するために手続きする人です。
「子の認知」や「相続人の廃除」がなければ必ずしも遺言執行者が必要な訳ではありません。
しかし遺言執行者がいることにより相続手続きがスムーズに進められます。
遺言執行者については「遺言執行者とは?【想いを実現する人】」「公正証書遺言で遺言執行者を決めておこう」で詳しく解説しています。
遺言で相続人以外の第三者に遺言執行者の指定をお願いすることもできます。
自分が指定したい人が自分より先に亡くなってしまうかもしれません。
そのよう場合に備えて「遺言執行者を選ぶ人」を指定します。
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遺言が持っている7つの効力について解説しました。
1.遺言では相続人の廃除ができます。
廃除する場合は遺言で遺言執行者を指定し遺言執行者が手続きをします。
2.法定相続分とは違う相続分の指定をすることができます。
またこの指定を第三者に委託することができます。
3.遺産分割の方法を具体的に指定することができます。
「誰に何を相続させるか」を特定できるように記載しましょう。
4.生前にお世話になった相続権のない個人または法人・団体に対し財産を残したい場合は遺言で残すことができます。
5.「内縁の妻」など婚姻関係のない女性との間に生まれた子の認知ができます。
認知された子どもは相続人となります。
6.未成年者に対し最後に親権を行使する者は遺言で未成年後見人を指定できます。
7.遺言執行者の指定または指定の委託ができます。
遺言執行者がいることにより相続手続きがスムーズに進められます。
遺言の効力は残された相続人に大きな影響を与えます。
専門家に相談し相続人同士のトラブルにならないような遺言を作りましょう。
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