コラムcolumn

2021.11.11遺言

遺言執行者ができることを解説

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

相続手続きは相続人全員または相続人代表者が手続きを進めることになります。

しかしそれには時間がかかり相続人間でのトラブルになる場合もあります。

そこで遺言で遺言執行者を指定しておけば相続手続きがスムーズに進められます。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために単独で相続手続きを行うことができるからです。

では遺言執行者がいる場合、どのような相続手続きができるのでしょうか。

今回は遺言執行者ができることをわかりやすく解説していきます。

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今回の記事に関する「遺言書の手続きを家族に任せて失敗した。2つの事例」のYouTubeについても是非ご覧ください。

遺言執行者ができることを解説

遺産の分配

遺言執行者はまず財産目録を作成するために金融機関などに残高証明を請求し相続財産を確定します。

プラスの財産だけではなくマイナスの財産、たとえば未払いの携帯電話料金や税金などを調べます。

いわゆる借金(住宅ローンや個人的な借り入れ)もマイナスの財産です。

また戸籍を集め相続人を確定します。

 

遺言に「不動産は売却換価し・・・」の記載がある場合は不動産の売却をします。

金融機関の解約、払戻し、不動産の売却等が終了したのち遺言通りに相続財産の分配をします。

この一連の手続きはかなり時間がかかり遺言執行者にとっても大変な事務となります。

たとえば、過去に祖父の相続登記がされていない土地は登記簿上の所有者に遡って祖父の相続人全員の戸籍謄本の取得から始めなければなりません。

相続登記については「どうする!相続登記の義務化」の記事で詳しく解説しています。

預貯金の払戻し

遺言執行者は遺言の記載通りに預貯金や有価証券の解約や払戻しを行います。

遺言執行者がいないと多くの金融機関では相続人全員の実印押印が必要です。

しかし遺言執行者が選任されていると単独で手続きが可能です。

金融機関の所定の用紙に遺言執行者が署名捺印し必要書類とともに提出します。

金融機関の数が多いとそれぞれに手続きをすることになりますので相続手続きにはかなり時間がかかります。

遺言者は金融機関の数をある程度絞っておくと良いでしょう。

不動産の相続登記

民法が改正され特定財産承継遺言なら遺言執行者が不動産の登記申請をできるようになりました。

特定財産承継遺言とは

「特定の財産を○○(特定の人)に相続させる」

という遺言のことをいいます。

 

たとえば

長男太郎に下記の財産を相続させる

所在 東京都港区虎ノ門二丁目
地番 ○○
地目 宅地
地積 ○○㎡

これは特定の不動産を特定の人、ここでは長男太郎に相続させる

という遺言です。

この場合は遺言執行者が単独で相続登記の申請ができます。

また、遺言執行者が登記申請をできるのは

遺言の作成日、遺言者の死亡日

両方が令和元年7月1日以降という場合です。

株式の名義変更

遺言に

「○○証券に預託している○○株式会社の株式全部を長女花子に相続させる。」

と記載されている場合、

まず相続人にその株式が預託されている証券会社に口座を開設してもらいます。

そして遺言執行者が必要書類を提出し長女花子さんが開設した口座に株式を移管してもらいます。

 

「○○証券に預託されているすべての株式を換金し、換価金を長男太郎に相続させる」

とういう遺言の場合はまず株式が預託されている証券会社に遺言執行者が相続手続き用の口座を開設します。

一旦、株式は遺言執行者の相続手続き用口座に移管され遺言執行者が株式を売却します。

そして遺言通りに相続人に送金します。

証券会社によって手続き方法が違いますので確認が必要です。

貸金庫の開扉

貸金庫の開扉は銀行によってかなり対応が違います。

そして銀行は貸金庫の開扉の対応にはとても慎重です。

遺言に遺言執行者の権限として記載されている場合でも相続人等の立ち合いを求められことがあります。

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遺言執行者ができることを解説のまとめ

今回は、遺言執行者ができることを解説しました。

遺言執行者は遺言通りに遺産の分配を行います。

そのために、まず相続財産や相続人の確定し財産目録を作成します。

そして金融機関に必要書類を提出し預貯金や有価証券の解約や払戻しを行います。

遺言執行者が選任されていると単独で手続きが可能です。

不動産の登記は民法が改正され特定財産承継遺言なら遺言執行者が不動産の登記申請できるようになりました。

 

特定財産承継遺言とは

「特定の財産を○○(特定の人)に相続させる」

という遺言のことをいいます。

株式の名義変更は証券会社によって手続きが違います。

相続人にその株式が預託されている証券会社に口座を開設してもらい

その口座に株式を移管してもらいます。

また、「すべての株式を換金し○○に相続させる」

という場合は遺言執行者が相続手続き用の口座を開設し移管された株式を売却します。

貸金庫の開扉は銀行によってかなり対応が違います。

そして銀行は貸金庫の開扉の対応にはとても慎重です。

このように相続手続きは複雑で大変時間がかかります。

遺言執行者は相続人ではなく経験豊富な専門家に依頼することをお勧めします。

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