コラムcolumn

2022.01.12任意後見

任意後見のデメリットについて

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

最近、認知症などに備えて対策を考えたいと

相談を受けることが多くなりました。

特に身内がいない方やお子さんと疎遠になっている方の場合は

将来が不安になります。

そのような場合に備えておく制度が任意後見制度です。

任意後見制度は元気で判断能力がしっかりしているうちに

信頼できる人を「任意後見人」に選び判断能力が衰えた時に

自分の代理などをしてもらう制度です。

任意後見制度にはメリット・デメリットがあります。

任意後見制度のメリットについては

任意後見のメリットについて解説」で解説しています。

今回は、「任意後見」のデメリットについて詳しく解説します。

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認知症高齢者が増加する今だからこそ知っておきたい後見人に求められる知識をギュギュッとまとめました。

これから後見人になる方やすでに後見人になっている方のぜひお手元に。

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今回の記事に関する「任意後見とは? やさしく説明します 」のYouTubeについても是非ご覧ください。

任意後見のデメリット

取消権がない

本人が、不要な高額商品の購入や

内容も理解せずリスクのある金融商品を契約してしまった場合

任意後見人として取り消す権利はありません。

任意後見人には独自の取消権がないのです。

法定後見の後見類型との違いです。

では、そのような時のためにどのように対策をしたら良いのでしょうか。

トラブルに備えて、本人の取消権を代理して行使できるように定めておきます。

その上で任意後見人が弁護士や司法書士等の専門家に訴訟の依頼できるよう

代理権を与える旨を契約書に記載しておきます。

任意後見人にどのような代理権を与えるかは

色々な場合を想定し、それに対処できるよう記載することがとても重要になります。

そのためにも任意後見を依頼する場合は、説明をしっかりしてくれる

経験豊富な専門家に依頼することをお勧めします。

死後の財産管理ができない

任意後見契約は本人の死亡をもって終了します。

ですから本人に身内がいない場合

未払いの医療費や施設費用の清算をする人がいません。

こういう場合に備えて「死後事務委任契約」をすると良いでしょう。

死後事務委任契約とは

自分が亡くなった後、信頼できる人に

葬儀や諸費用の精算等をお願いする契約のことです。

死後事務委任契約については、

死後事務委任契約とは?おひとり様でも安心

で詳しく説明しています。

タイミングが難しい

本人の判断能力が衰え始めると家庭裁判所に

「任意後見監督人の選任申立て」をすることになります。

任意後見監督人とは任意後見人が契約通りに業務を

行っているかチェックする人です。

任意後見監督人が選任されてから、任意後見人の仕事が始まります。

任意後見のながれについては

任意後見がはじまるのはいつから?契約のながれをわかりやすく解説

で詳しく解説しています。

「任意後見監督人の選任申立て」には、基本的に本人の同意が必要です。

しかし、家族や親族が受任者になっていると

本人の判断能力が衰えても「任意後見監督人の選任申立て」を

しないという場合も起こりえます。

これは、財産管理が事実上できているので

あえて申立てる必要がないと考える受任者もいるからです。

また、判断能力の衰えという状態もあいまいです。

認知症は急激というより、ゆっくりと進行します。

どの段階で「任意後見監督人の選任申立て」をするのか

専門家でも迷うことがあります。

本人の判断能力が失われているにもかかわらず

しばらく経ってから「任意後見監督人の選任申立て」をすると

家庭裁判所から受任者として不適格では?

と思われるかもしれません。

「任意後見監督人の選任申立て」には医師の診断書が

添付資料になっています。

そのため最終的には医師の診断によるところが大きいでしょう。

専門家が受任者となる場合は、本人が望まない時を除き

早めに「任意後見監督人の選任申立て」をすることが良いと考えます。

そのタイミングの把握のためにも本人と定期的な面談をする際に

理解力や行動に変化がないかを注意深く観察することが

受任者として大切な業務となります。

任意後見のデメリットのまとめ

今回は、「任意後見」のデメリットについて解説しました。

まず、本人が不要な高額商品の購入等の契約をしても

任意後見人には取消すことができません。

その対策として

トラブルに備えて本人の取消権を任意後見人が

代理して行使できるようにしておきます。

その上で任意後見人が弁護士や司法書士等の専門家に依頼できるよう

代理権を与える文言を契約書に記載しておきます。

また、任意後見人は死後の財産管理ができません。

任意後見契約は本人の死亡をもって終了するからです。

身内がいない場合は「死後事務委任契約」をすると良いでしょう。

本人の判断能力が衰え始めると家庭裁判所に「任意後見監督人の選任申立て」を

することになります。

しかし、いつ「任意後見監督人の選任申立て」をしたら良いのか

タイミングが難しいのです。

最終的には医師の診断によるところが大きいでしょう。

専門家が受任者となる場合は、本人が望まない時を除き

早めに「任意後見監督人の選任申立て」をすることが良いと考えます。

家庭裁判所や任意後見監督人から受任者として不適格では?

と思われないことが大切だからです。

任意後見制度は元気で判断能力がしっかりしているうちに

信頼できる人を「任意後見人」に選び判断能力が衰えた時に

自分の代理などをしてもらうための大事な制度です。

たとえ任意後見契約は判断能力の衰えが始まっていても

公証人が「契約する判断能力はある」と認めれば

契約ができます。

任意後見制度のデメリットも理解した上で

認知症対策として検討してみてはいかがでしょうか。

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