コラムcolumn

2022.03.08任意後見

任意後見人で起こったトラブルについて解説 その対策案も紹介

こんにちは司法書士の勝猛一(カツタケヒト)です。

任意後見契約の契約件数は増加傾向です。

任意後見契約とは将来の認知症などに備えて後見人を自分で決めて

やってもらいたいことも決めておける大切な契約です。

しかし、任意後見契約自体は

必ずしも世の中で認知度が高いとは言えません。

このため、契約内容の誤解や不理解から

任意後見人として問題を起こしたりトラブルに合う事例が発生しています。

任意後見人になるには、しっかりとした準備や知識が必要です。

今回は、任意後見人に起こったトラブルについて解説し

その対策案も紹介していきます。

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これから後見人になる方やすでに後見人になっている方のぜひお手元に。

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今回の記事に関する任意後見について

「任意後見とは? やさしく説明します 」のYouTubeで分かりやすく

説明していますので是非ご覧ください。

任意後見人 トラブル

任意後見人で起きたトラブル

◎任意後見のスタート

任意後見をスタートさせることを

「任意後見契約の発効」と表現します。

本人の判断能力が衰えているにもかかわらず

任意後見人が、この「任意後見契約の発効」させるための申立てをしない

という問題があります。

任意後見契約は、公証役場で契約書を作っただけでは

まだスタートしません。

いつスタートするのか?については

任意後見がはじまるのはいつから?

で詳しく解説しています。

任意後見契約は、「任意後見契約を発効」させるには

家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立て」をします。

この任意後見「監督人」が決まってから任意後見がスタートします。

任意後見人は、この任意後見監督人に対して

定期的に本人の財産状況や身体状況について

報告しなければなりません。

任意後見人は監督される立場になり

負担が大きく後見をスタートさせたくない心情もあるようです。

そのため、せっかく任意後見契約をしても「任意後見監督人選任の申立て」を

する割合は任意後見契約中、約5.3%程度とかなり少ない状況です。

◎任意後見人と任意後見監督人との関係

親族が任意後見人の場合

「他人の財産を預かっている」という認識が弱く

財産の管理や報告がずさんになることがあります。

このような場合、監督する立場の任意後見監督人に

「任意後見人として不適格なのでは?」と判断されかねません。

また、任意後見人は代理権目録の範囲内でしか代理行為ができません。

代理権目録とは

本人の生活、療養看護や財産の管理に関して

任意後見人に代理してやってもらいたい事を書いてあるものです。

この代理権の定め方が曖昧だと

任意後見人と任意後見監督人の「代理権の範囲」の判断に

違いが出てくることがあります。

たとえば、

自宅の建替えや売却については、任意後見監督人に相談し

家庭裁判所と協議してもらうことが必要になる場合があります。

しかし、具体的な方法が書かれていないと

任意後見監督人に承諾を取りつけることは難しいでしょう。

◎任意後見人と親族との関係

親族ではない任意後見人は本人の医療行為について

同意をすることができません。

手術やワクチン接種が必要になった場合に医療関係者から

親族の同意を求められることがあります。

実際の事例でも遠方の親族や付き合いのあまりない甥、姪に連絡しても

協力的ではないこともあり、治療やワクチン接種が遅滞してしまうことがあります。

また、それとは逆に任意後見人に対していろいろ指示をしてくる親族もいます。

代理権目録に定められた範囲外のことを指示したり

本人の意思だとは思えないことを主張してくることもあります。

トラブルが起きないための対策

◎任意後見のスタート

本人の判断能力が衰えている状況にもかかわらず

「任意後見契約の発効」をさせないことには問題があります。

本来「任意後見制度」とは、

将来の本人の判断能力の衰えに備える制度です。

そして、本人は将来判断能力が衰えても

自分の意思を尊重してもらった生活をしたいと願い契約をします。

この本人の思いを大切にするためにも

任意後見人は、本人の判断能力が衰え始めたと感じたら

「任意後見監督人の申立て」を視野にいれなければなりません。

◎任意後見人と任意後見監督人との関係

任意後見人が親族の場合、自分の財産と分離して管理する必要性から

実際は親族だったとしても、他人の財産を管理しているのだと

強く認識することが大切です。

さらに「代理権の範囲」の判断に意見の相違がないように

代理権目録の内容は具体的に定めておく必要があります。

代理権目録を補強する意味でも

ライフプランを作成することをお勧めします。

ライフプランとは、将来の希望や

本人の趣味・嗜好などの細かい希望をまとめたものです。

所有している建物の建替えや売却については

特に詳細に代理権目録やライフプラン等に記載することが大切です。

本人の判断能力がしっかりしている間に

設計や予算額、請負業者、借入れ予定の金融機関について確認しておきます。

金融機関に借入れを予定していれば

事前にその金融機関と打ち合わせも済ませておく必要があります。

将来、自宅を売却する状況になっても

代理権目録やライフプランに詳細に記載されていれば

任意後見監督人にも説明しやすくなるでしょう。

◎任意後見人と親族との関係

司法書士などの専門家の任意後見人と

親族との関係は難しいものがあります。

あらかじめ本人に、必ず連絡が取れるような親族を確認すること、

そして、その親族に任意後見契約をしたことを

説明しておいてもらうことが大切です。

勝司法書士法人では、契約書の作成の時点から同席して貰うこともあります。

医療行為についての同意などは親族しかできないことも伝えてもらうと

良いでしょう。

加えて親族には、代理権目録やライフプランの範囲内でしか

任意後見人には代理権がない、と説明してもらっておくことも大切です。

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任意後見人で起きたトラブルのまとめ

本人の判断能力が衰えているにもかかわらず

任意後見人が、「任意後見契約の発効」させるための申立てをしない

という問題があります。

本人の思いを大切にするためにも

任意後見人は、本人の判断能力が衰え始めたと感じたら

「任意後見監督人の申立て」を視野にいれなければなりません。

親族が任意後見人の場合

財産の管理や報告がずさんになることがあります。

親族でも他人の財産を預かるのと同じでしっかりと財産管理をする

必要がある、と強く認識することが大切です。

また、代理権目録の定め方が曖昧だと

任意後見人と任意後見監督人との「代理権の範囲」の判断に

違いが出てくることがあります。

「代理権の範囲」の判断に意見の相違がないように

代理権目録の内容は具体的に定めておく必要があります。

代理権目録を補強する意味でも

ライフプランを作成することをお勧めします。

そして、親族ではない任意後見人は本人の医療行為について

同意をすることができません。

あらかじめ本人に、手術などの時にそなえて

必ず連絡が取れるような親族を確認すること、

そして、その親族に任意後見契約をしたことを

説明しておいてもらうことが大切です。

契約書作成時から親族に同席して貰うことも考えてみましょう。

今回は、任意後見人で起こったトラブルについて解説、

その対策案も紹介しました。

判断能力が衰えたのちにも

自分の意思を尊重して生活したいと願うなら

「任意後見契約」を考えられてはいかがでしょうか。

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